NPO法人 府中かんきょう市民の会

府中崖線と湧水





府中崖線上の「鳩林荘」(左上)、「お滝神社」(右上)、西府崖線(左下)、西府町湧水(右下)

 府中市を東西に、府中崖線と呼ばれる河岸段丘が西は立川・国立あたりから府中を通って、調布・狛江まで約16キロにわたって伸びています。
 崖線の北部(上部)は主に関東ローム層と呼ばれる富士山などからの粘土層と黒土に覆われた武蔵野台地、南部(下部)は多摩川が運んできた土砂などが主の多摩川沖積地とされています。
 崖線としてはさらに北の府中市武蔵台付近の国分寺崖線もありますが、府中崖線も多摩川の浸食跡で、高さ数メートルの崖線(ハケ)沿いは開発から残されて緑が比較的多く存在しています。
 この崖線沿いには市川緑道、大國魂神社、鳩林荘、滝神社、東郷寺などの観光スポットも存在していて、これらを巡るウォーキングも盛んです。
 府中市はこの崖線を「景観形成推進地区」として指定していますが、ほとんどが民有地のために常に開発にさらされたり、緑を巡って周辺住民とのトラブルも抱えています。
 崖線にはかつて豊かな湧水が湧き出しており、「滝神社」のようにくらやみ祭を司る神官が禊ぎをしたことでも知られています。
 しかし東京都の名湧水57選にも選ばれた「西府町湧水」はハケ上の開発で今では水量が以前より減少した状態が続いており、アカマツとケヤキ、クヌギなど緑の保全とともに雨水浸透対枡の普及などの対策が求められています。
 当会では、西府崖線(府中崖線の西部地区)の近くに開発されたJR南武線の新駅開設(西府駅)に伴う周辺開発の諸問題に対応するため、2004年10月に地域会員を中心に「西府崖線を守る保全チーム」を発足させ、崖線保全のため樹木の剪定や周辺樹木の保存、「西府町湧水」の保全活動を進めています。
2006年4月から「西府町湧水の水量・水質調査」を府中市から受託し、毎月1回湧水量と水温測定、夏と冬の年2回、7項目の水質調査を行い、市へ報告しています。
また、2011年から毎年、地域住民に崖線の自然や湧水の存在などをより認知していただくために「西府わき水まつり」を開催してパネル展示を行ったり、春・秋の年2回崖線と用水内の一斉清掃活動などを行っています。