浅間山とムサシノキスゲ
府中市の北部に、豊かな自然を残す標高79.8mの浅間山(国土地理院表記)があります。
浅間山は50万年ほど前、古相模川が多摩丘陵の北部を流れていた時代に、河岸段丘の一部として形成されと言われています。
浅間山の緑は、歴史的ともいえる市民の取り組みにより残され、いまも守られています。
この浅間山は、戦前は農家の薪炭林として使われ、戦中は陸軍に接収され弾薬庫として使用されました。
戦後、地元に払い下げられ、住宅地として開発される寸前に、関係者の奮闘で東京都が購入し、都立浅間山公園として1970年に開放されました。
その浅間山には、ムサシノキスゲという固有種が群落をつくり毎年5月にはやや上向きの黄色い花を咲かせます。
ムサシノキスゲはこの浅間山のみで自生しており、多摩を代表する野草でもあり、ニッコウキスゲの亜種といわれています。
またここでは、キンラン、ギンラン、ヤマユリなどの山野草も見られます。
この市民の貴重な自然財産である浅間山はボランティア団体「浅間山自然保護会」などによって、手厚い保護が加えられています。
ムサシノキスゲの開花に合わせて毎年5月の初めには「キスゲフェスティバル」が開催されています。