NPO法人 府中かんきょう市民の会

大国魂神社とけやき通り





大國魂神社と馬場大門ケヤキ並木は、府中市の歴史と緑のシンボル的な存在です。
市内全域にわたる長年の発掘調査により、2009年、大國魂神社境内地及び東側隣接地が、国府の中心の役所がおかれた地域として国指定文化財武蔵国府跡国衙地区の指定を受けました。
さらに、2011年には府中本町駅東側隣接地から国司の舘(国司の居住地)の遺構等が発掘され、国指定文化財武蔵国府跡御殿地地区として追加指定されました。
大國魂神社本殿は1962年に東京都有形文化財に指定されていますが、さらに、2001年に、馬場大門けやき並木とともに「特に景観上重要な歴史的建造物等」として指定されました。
また、毎年5月に行われる大國魂神社の「くらやみ祭」についても、2011年に、東京都指定無形民俗文化財に指定されました。
ケヤキは「府中市の木」です。
馬場大門ケヤキ並木は大國魂神社からほぼ北に延び、約2キロにわたって豊かな緑をつくっており、国により天然記念物に指定(1924年)されました。
ケヤキ並木としては、国内唯一の国指定天然記念物として保護されています。
この並木は、2008年の調査では、ケヤキが約150本で全体の70%をしめ、そのほかにイヌシデが約40本、トウカエデ、ムクノキ、エノキなど他の9種類の樹木が合わせて約30本でしたが、ケヤキを増やす取組が進められています。
ケヤキ並木は、府中市の中心繁華街であるために、「緑のトンネル」として貴重な緑を提供し、緑のまち府中のイメージアップに貢献していますが、通過交通の影響や高層ビルによる日陰の悪化、他樹種の増加、石垣設置等による水分浸透阻害、さらにケヤキ自体の老齢化により、ケヤキ並木の衰退が大きな問題となっています。
府中市は「馬場大門のケヤキ並木保護管理計画」を2008年に策定し、ケヤキ並木保全にむけて具体的対応を開始しています。
ケヤキの植え替え、石垣の上段の撤去、地面を覆うイヌシデの伐採などが進められています。
  私たち「NPO法人府中かんきょう市民の会」は、歴史的背景を持つケヤキ並木が、府中の森公園や浅間山といった市内のグリーンネットワークの一部となって保全される事を願うと共に、甲州街道以南のケヤキ並木を歩行者専用道路(緑のモール)にすることを求めています。
2001年5月に「大國魂神社本殿及び馬場大門のケヤキ並木」が東京都の「特に景観上重要な歴史的建造物」に選定され、神社やケヤキ並木から100メートルの範囲内で建築行為を行う場合は「歴史的景観保全の指針」に従って景観に配慮するよう求められました。
ところが、2001年9月に大國魂神社の東隣にある平屋建て「都営住宅」が4階建て2棟(59戸)に立て替える計画が進んでいることが判明し、当会では直ちに「東京都南部住宅建設事務所」に対して、同神社周辺の景観が住宅建設によって損なわれる事がないように配慮を求めました。
また、住宅建設と合わせて造成される公園についても、府中市が計画している府中崖線の保全計画とマッチするような公園の造成や府中崖線にふさわしい樹木を植えるよう求めました。
東京都は当会の要望に対してほぼ同意し、約3年にわたる建設工事においても、景観上の配慮をもとめた当会からの都への要望は、ほヾ約束どおり履行されました。
また、破壊された府中崖線も、公園という形で復元されました。
  2008年、「馬場大門ケヤキ並木」沿いに大規模なマンション建設計画(地上14階建て、高さ約45メートル、述べ床面積約5000平方メートル、入居世 帯数155戸)が持ち上がりました。
当会では周辺住民団体(府中のけやきを守る会)などと共に建設業者や行政に対して計画の見直しを求めて行動いたしました。
府中市は2008年1月に景観法に基づく景観行政団体に、多摩地区で最初になり、独自の景観計画を策定しました。
その中でケヤキ並木周辺地区は「景観形成推進地区」に指定され、景観や建築物の高さなどに配慮する地区になっており、この問題は「府中市議会」や「府中市景観審議会」でも重点的に取り上げられました。
このことも背景として、行政として事業者に対して指導ならびに協力を要請したところ、建物の規模や高さについて見直しがなされ、当初の計画より建物の高さを39メートル、12階建てに押さえると共に建物の位置をケヤキ並木通りから奥側に後退させる事が実現しました。