府中用水と田んぼ
1990年代の「府中用水」のネットワーク…赤色は水田を示す…「府中用水土地改良区」発行『府中用水』より引用
多摩川という豊かな水に恵まれた府中は、昔から水田農業が盛んでした。
府中には「府中用水」や「西府用水」といった多摩川からの取水による用水がいまでも現役です。
しかし多摩川の水を国が管理するようになってから、用水は水田利用に限って取水する「季節通水」にかわり、さらに府中用水、西府用水いずれも多摩川からポンプアップ方式で取水するために、田んぼの生き物の様子も変化しています。
府中市内だけでも延べ160キロにおよぶとされる、府中の用水を「通年用水」とし、市民のための親水機能とともに災害時にも役立つ水辺環境を保全することが求められています。
●府中用水が全国「疎水百選」に選定
灌漑などの目的により全国に張り巡らされた水路(疎水)の環境保全を目指している「全国水土里ネット」と農林水産省は全国の疎水のなかから「疎水百選」を選定し、それぞれの環境保全につなげようと選定作業を行なってきました。
2006年、府中用水がこの「疎水百選」に選定されました。
農業用水が主な目的の用水ですが、景観や生物を含む府中市の用水の未来へ向けての保全にも役立てたいものです。
選定された疏水百選については、新聞・雑誌・ポスター・インターネットのホームページなどを通じて全国に情報発信を行い、2006年度以降行われる疏水百選を対象とした写真コンテストなどの実施、様々なイベントキャンペーンを行なっています。
●府中市内の農業用水
府中市内に流れる農業用水には、府中用水の他に西府用水(四谷、日新町、南町など)、多磨用水(押立町、小柳町)、二カ村用水(押立町)の4つの用水組合があります。
2015年度に策定された農業振興計画では、2013年度では市内の用水合計のかんがい面積は34.6haで、農地総面積152.2haの23%程度とされています。